青田下宿との出会い

　福島市で震災復興の仕事に携わった際、浪江町民と関わる機会が多かった和泉さんは、「浪江町に移住して地域活性化に貢献したい」と、避難解除前に物件を探し始める。そこで紹介されたのが「青田下宿」だった。持ち主の青田さんは震災後、避難先を生活の拠点としているが、思い出ある下宿を残したい思いから、解体せずにいたという。和泉さんの手によって生まれ変わった青田下宿に、青田さんはとても喜んだ。和泉さんは「自分たちの思いだけではなく、青田さんや町の方々の協力があって実現できた」と、感謝している。

　クラウドファンディングへの挑戦

　和泉さんは、ゲストハウス開設の資金を工面する手段として、インターネットを介して資金を募る「クラウドファンディング」に挑戦した。呼びかけが大変だと言われていたが、Facebookなどを利用した結果、予想以上に拡散し、多くの賛同者により、目標額の２倍の資金を達成できた。しかし資金達成はもちろんだが、クラウドファンディングに挑戦したことにより、全国に浪江町のことが広がったこと、応援したいという方たちの声を拾えたことのほうが、何より嬉しかったという。

　自分たちが浪江町にできること

　浪江町は今年の４月末現在、人口は729人となっている。震災前と比べると10分の１にも満たないが、診療所やコンビニ、仮設商店街を始め、昼夜営業している飲食店など、徐々にではあるが活気が出てきている。街灯も設置され、治安も良くなっている浪江町。移住した和泉さんや小林さんも、生活に不便は感じておらず、「人の温かみを感じられる」と住み心地がいいそうだ。
　ゲストハウスを拠点に、夏祭りや秋祭りといったイベントを企画し、町内を盛り上げたいと語る和泉さん。より多くの方々に浪江町に足を運んでもらいたい、そしてゲストハウスにも気軽に来て頂きたいという。ゲストハウスでは愛くるしい看板犬「そうちゃん」が出迎えてくれることだろう。

あおた荘

看板犬「そうちゃん」

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