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passion
ワインから始める魅力ある町づくりへ
〜とみおかワイン葡萄栽培クラブ 遠藤秀文さん〜


遠藤秀文さん

 海を一望する小高い丘の上で暖かい日差しを浴びる葡萄畑。平成28年から始まったワイン醸造用の葡萄栽培が3シーズン目を迎えている。
なぜここでワイン葡萄の栽培を始めたのか、代表を務める遠藤秀文さんにお話を伺った。

 富岡は人々が集う商業の町で、また海山川の幸があり個々の食材は充実していたものの、それらを繋ぐ何かが足りないと感じていた遠藤さん。それが酒でありこの地に合うワインであることを震災以前より意識していたという。
 大地震、津波そして原発事故に襲われ、建てて5ヵ月の新居は津波で流された。郡山市に避難し、1ヵ月後には経営していた事業再開。それから地域の復旧・復興に関わってきた。
 避難指示解除の前年に「町の再生の一つの核を作ろう」と、町の有志10名と共にワイン用葡萄の栽培を始めた。メンバーそれぞれ避難先から通って苗木を育て、初年度約400本だった苗は毎年種類と数を増やし、現在3種900本の苗が元気に成長している。クラブの会員も30名に増え、加えて普段の下草刈りなどのサポーターの存在も大きい。
 他のワイナリーを訪ねる研修も重ね、ワイン作りの難しさも学んだ。美味しいワインになる葡萄が実るまでに10年を要するといい、最高品質と呼ばれるのは40年めから60年めとも言われている。産業として軌道に乗せるまで長期計画だが、遠藤さんは「誰もが簡単にやれる事で復興は出来ない」と、苦労は折り込み済み。ワインと地産食材の料理と組み合わせは無限大。年ごと、季節ごと「食」のバリエーションの変化が楽しめる魅力あるまちづくりを目指している。

 ワインを核とした高齢化社会を恐れない「富岡スタイル」にも繋がっていけたらいいと遠藤さんは話す。高齢者が葡萄栽培に汗を流し、美味しいワインで人から喜ばれる社会。その実現に向けて、活動は始まったばかりだ。


2017年に植えたシャルドネの苗がすくすくと育っています。

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