エリア相南相双・トライカウンティーの情報誌WEB i-いんふぉ
passion
高齢化地域の「食」情報を発信する場所に
〜伊藤商店・伊藤健秀(いとうたけひで)さん〜


伊藤健秀さん

双葉郡浪江町で昭和7年に創業した海産物の店から戦後、食品の卸売業へと商いを広げた伊藤商店。原町区陣ヶ崎にこの春完成した新社屋でアイランド式キッチンを備えたセミナールームに、取扱商品の一部を揃えて頂きました。8年間の仮店舗営業を経て再スタートに向けたお話を伺いました。

編:震災前まで会社は浪江町だったとか。

地震の大きな揺れを感じた時は社内で、倉庫で油の一斗缶が倒れるのを止めようとして落下してきた缶で全身アザだらけになりました。原発事故での避難時は何も持ち出せず、倉庫に大量の食料品があったのにお届けすることができず各避難所で食料が乏しい状況を聞いては悔しい思いをしました。

編:その年の9月には南相馬で営業を再開したんですね。

浪江から避難した企業では最も早い方だったと思います。お客様からの強い要望もあって再開しましたが、当時は南相馬市に商品を運んでくれる食品輸送トラック便がなく、仙台市まで行って何とか商品を調達しました。許可を取り浪江に入れるようになってから会社の様子を見に行きましたが、倉庫の商品は腐敗し、動物達に喰い荒らさて酷いものでした。あれは本当にがっかりする光景でしたね。残された機材や設備は使い物にならなくなっていました。

編:食品製造ではなく卸売り会社で、何故キッチン付セミナールームを

実は震災前に浪江に居た時も如水さんの会場で毎年食品フェアを開催し毎回500人近くの来場者がありました。今回完成したセミナールームでは、ミニ展示会を年に数回開催して食の情報発信をしていきたいと思っています。弊社は外食や学校給食の食材の他、高齢者向けの介護食や腎臓疾患などでたんぱく質の摂取制限のある方向けの治療食も扱っています。最近は大きなスーパーやドラッグストアにも並んでいますが、調理方法や使用方法が解らない方が多いのです。相双地区は高齢化比率が高く、在宅での老々介護も増えています。料理が苦手な男性の方でも短時間に安全でおいしく介護食や治療食を作ることが出来れば地域の方々の介護負担も減らせるのではと思います。寝たきりの方、歯が無い方、病気で食事に配慮が必要な方でも美味しく食べられる食品を、実際に眼の前で調理して提供する機会を設けたい。そのための場所を作りたかったのです。再び大災害が発生しても必要な場所に必要な食料品をお届けできるようにするため建物を頑丈な造りにしました。食は命の源です。地域の食の安全はその地域の人間が守るのだという使命感で活動してまいります。


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