山田能資さん(Photo : Isao Hashinoki)
宮城県南部の阿武隈山系の里山にある会社と採石場周辺が大蔵山スタジオ。佇まいのある社屋で迎えて頂いた山田能資さんは丸森町で100年続いた石材会社の5代目です。ここでしか取れない珍しい玄武岩質安山岩の1種「伊達冠石(だてかんむりいし)」の魅力と新しい可能性にいて伺いました。
編:採石場のあちこちに石の作品や建物が点在しているんですね。
大正時代から長年採掘され、荒れ果てた山に先代の山田政博が昭和後期に「命を返す」活動を始めました。石の造形物の他、山で切り倒した木材を使った劇場や、図書館には石に関する本を収蔵しています。伊達冠石は自然のままでも存在感がありますが、加工によって様々な表情を引き出せる石で、この性質が世界的な彫刻家やアーテイストに愛されている理由となっています。敷地内の造形物や建物は、それぞれに訪れた人が石の力強さを感じられるように願って造られています。
編:一昨年、先代の想いと共に事業を受け継がれたのですね。
子供の頃から親の姿を見てきて、この仕事を自分の代でも大事にしながら、発展出来ればと思っていました。大学で英米文学を学び、その後にイギリスの美術大に入学しましたが、繊細なニュアンスを外国のデザイナーとお客様双方からダイレクトに受け取り、実際に作る職人に伝えられるのは学びのおかげです。
編:日本国内のみならず世界中にお客様がいるのですか。
弊社は伊達冠石を墓石や石碑、建材などに加工してきましたが、加えて家具、モ二ュメント、食器など製品の幅が広がっています。受け継がれてきた職人の技能を大切にしつつ、現代のニーズやマーケットに左右されるのではなく、自分たちが作りたいものを作り、その感覚を理解頂けるお客様に私たちの製品をお届けしたい。また、私たちのビジョンに共感する世界中のクリエイターと共に、伊達冠石の付加価値を高めて行きたい。その上で「工場」ではなく「工房」というスタンスを大切にして行きたいと考えております。
編:大蔵山スタジオは見学も可能だとか。
事前予約の上、スタッフがご案内をしています。多くの方に伊達冠石の事を知っていただきたいですね。
大蔵山スタジオ株式会社
宮城県伊具郡丸森町大張大蔵字小倉10-1
TEL 0224-75-2105 (代表)
事前予約のみ見学可
https://okurayamastud io.com/access