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幕が上がる度に成長する、全員が主人公の舞台
〜ふたば未来学園高等学校・演劇部〜

相双地域の南端、広野町の町役場からほど近い丘の上にあるふたば未来学園高等学校に向かうと、ひときわ賑わう学内カフェの近くに稽古場がありました。
ちょっとした公演なら充分開ける設備に圧倒されながら中に入ると、続々と部員が集まってきます。訪問した日は丁度、高校演劇コンクールの相双地区大会に向け稽古の真っ最中。貴重な稽古の時間にお邪魔して、顧問であり脚本も書いている齋藤夏菜子先生にお話を伺いました。

編:部員が多いですね。先月3年生が引退したと聞いていましたが。

1年生が20名、2年生9名、実は3年生も3名ほど残っています。この夏は全国大会まで進んで佐賀県での高校総合文化祭に出場し、2位にあたる優秀賞の一校に選ばれました。
そこで上演した「Indrah〜カズコになろうよ〜」は部員それぞれのノンフィクション構成劇です。震災当時、小学1年から3年だった彼らの、地震と津波被災や原発事故から今までの思い出と現在のリアルな生活を盛り込んでいます。地区大会から4度、上演しましたが、演じる度に生徒達に変化が見え、成長していくので自然と脚本も変わっていく劇でした。

編:生徒のリアルを盛り込むと言えば昨年、南相馬市小高区でふたば未来学園高校の演劇部が上演した柳美里さん脚本の「静物画」も、そうですね。今の2年生が「原発事故によって今は行く事が出来なくなってしまっている故郷の思い出」を語るシーンが印象的でした。今度の地区大会ではどんな作品に取り組んでいますか?

新作でも等身大の生徒の姿を当て書きしています。生徒それぞれの悩みを取り込んだ台詞もあり、普段は言えないけれど、「台詞なら言える」胸の内を吐き出しながらも人との関わりを考え、作品を通して成長を願っています。私達の学校がある広野町を舞台にしたフィクションを軸にして、全員が主人公の脚本を生徒達と一緒に作りました。広野町の特産物「みかん」も重要なアイテムになっています。演劇で町おこしが出来たら楽しいですね。

編:9月に3年生から任命されたばかりの新部長にもお話を伺わせてください。

部長の大和田萌です。入学当初は違う部に行くつもりが、体験入部で演劇の面白さに惹かれました。先輩から部を託されて正直、自分に自信が持てずに戸惑いもありますが、以前は話せなかった後輩に自分から話しかけられるようになりました。部員同士仲良く、いい舞台を作っていきたいです。

取材後、台風の影響で地区大会は中止に。
審査協議の結果、ふたば未来学園高等学校は県大会に駒を進めました。11月22日から3日間、いわき芸術文化交流館アリオスで始まるコンクールで東北大会出場を目指します。どなたでも観覧出来ますので、是非一度、若い感性溢れる高校演劇に触れてみませんか。




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