デリバリーに出発するスタッフと門馬さん(左から2番目)
南相馬原町区で、他店のメニューを無償で代行配達するボランティアを始めた門馬さん。同区内で居酒屋「和美好奇」とラーメン店「へうげもの」を経営していましたが、繁盛店だったどちらのお店も新型コロナウイルス感染拡大の対策で外出自粛の影響を受け来客数が激減。そんな中で、敢えて他店の商品の無償デリバリーに踏み切った訳を伺いました。
編:この活動を始めたきっかけは?
この状況を乗り越える方法を考えた時にデリバリーを始めようという意見が出ました。ですが、商品原価の高い当店では配達コストなどを考えると利益は出ません。そんな時に市内で感染者が出て、差別や嫌がらせを受けているという話を耳にしました。本当に暗い気持ちになり南相馬でそれが起こる事が悲しくやりきれませんでした。「人に優しくあって欲しい」と願った時に先ず自分が優しく在る姿を見せたいと思い、他店のデリバリーの配達コストを当店が負う事を思いつきました。野馬追いと既存のサービスを引っ掛け「ウーマーイーツ」と名付けました。自店は潰れるかもしれないが、一生懸命、駆け回りできれば他店と一緒に生き延びて収束したらまた競争したいんです。
編;馬の被り物や仮装をしてギャグと一緒にお届けするアイデア、いいですね。
「へうげもの」はひょうきんな人という意味なので。4月中旬から始めてすぐにテレビや新聞の取材を受け、認知度も上がり加盟店は現在10店舗、お客様の登録は1200人を超えました。
被り物などは以前からお店で使っていた物です。お客様には驚きや喜びなど「心」が動くような楽しい食事をして貰いたいという気持ちでお店ではおもてなしをしていました。今はそれも難しいので同じ気持ちでお客様の所まで出張しています。
編:ウーマーイーツはいつまで続ける予定ですか?無償なのは何故ですか?
お店が潰れる一歩手前まで続けます(笑)お客様から寄付を募っておりますので、当店の負担は少し軽減されております。お客様の善意のおかげでもう少しは続けられそうです。利用料が無料なのは、私達が他店とお客様の配達コストを負担すれば少なくとも他店は利益の取れる商品を販売できると考えました。感染症が収束した後でも人助けのツールなどになるのではないかとは思います。
例えば移動手段を持たないお年寄りの買い物や困り事をみんなで解決するなど、何かしら新しいサービスの下地にもなるのではないかとは思っています。日常に戻る日を祈りつつ、お客様の元へお料理と笑いをお届けしています。