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passion
名取川で遊びを通して、自分と自然に向き合う体験を。
〜「S..Natori Base」代表 白圡栄一さん〜

白圡栄一さん

 宮城県名取市「かわまちてらす閖上」のすぐ側にこの夏「SUP」やアウトリガーカヌー(oc−1)のレッスンが受講出来る施設がオープンします。代表の白圡栄一さんにお話を伺いました。

編:ご出身は福島県富岡町の夜ノ森だとか。

 若い頃からサーフィンが好きで、岩沢海水浴場ではライフガードを12年務めました。富岡町でいくつかの商業施設を経営しながら常に海に親しむ生活でしたが、人生で二度、海に浸かれなくなる時がありました。2009年、公私共に親交の厚かったサーフィン仲間、南相馬市の杉山大一郎氏が海で不慮の事故により亡くなるという大きな悲しみに遭遇。翌年、彼の生前からの希望だった、ハワイに散骨に訪れた際、あまりに気落ちした私を見た地元の親友から紹介されたのがSUPでした。
 SUPとはスタンドアップパドルボード(Stand Up Paddle Board)の略で、海や川、湖などでボードに立ってパドルで進むスポーツです。子供から高齢者まで幅広い年齢の方が楽しめるSUPクルーズに興味を覚え、帰国後、地元でクルーズやサーフィンの鍛錬をする日々を過ごしていました。
 そこで大震災に遭い、経営していた全ての店舗が全壊。地域一体が戻る事の許されない場所となりました。強烈なショックに心が押し潰され歩けなくなり車椅子の生活に。甚大な被害を受けた太平洋岸には近づく事も憚られ、鬱々とした日々を過ごしました。
 半年余りが経過したある日、癒しを求めて訪れた秋田の海。その美しさに、思わず足を浸けた瞬間、「やっぱり俺には海が必要なんだ」という気持ちが心を突き上げたのです。
「必ずSUPを東北に根付かせ、3年後には大会を誘致する!」という一念発起。必死に鍛錬して体力を取り戻し、インストラクターの資格を取得。2014年に日本スタンドアップパドルボード協会の東北ブロック長に就任し、東北地区のSUP振興活動を本格的にスタートしました。宮城県七ヶ浜町・奥松島・野蒜海岸、福島県の北泉・猪苗代湖などで普及に取り組みました。
 そして、SUPに最適な環境の閖上地区名取川での活動許可を国交省に申請、認可がおり、動き始めました。そんな矢先、地元の活性化に尽力されている方から名取市とのご縁を繋いで戴き、今回のプロジェクトへと大きな展開を遂げて行きました。

編:それが「S..Natori base」ですね。

 太陽の下、SUPやカヌーで海や川から陸を眺めながら雄大な自然と向き合える有料体験ができます。そこで面白いと感じて貰えたらレッスンで更に技術を習得して戴けます。
 いつか、レースアスリートの養成も出来たら…と夢は拡がります。新しい時代の新しいスポーツが、名取市閖上地域の更なる復興に貢献出来たら嬉しいですね。
 今年、富岡町の帰還困難が解除された地区にもクラブハウスをオープンしました。近くの堤でSUPを楽しんだり近隣を自転車ツーリングが出来る施設として、そこも新しいまちづくりに活躍してくれそうです。


North Shore SUP CLUB
スライドショー


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