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passion
ふたりでひとつ「いい音」をつくる工房
〜スピーカー製作工房S&H 廣内 忍さん・酒井久寿さん〜

 

 道の駅なみえの交差点から海に向かって車で4分程。 今年の3月にオープンした 「スピーカー製作工房S&H」で、スピーカーの音声回路を作っている酒井さんと、木製のキャビネット部分を作っている廣内さんにお話を伺いました。

 おふたりは浪江町にあったあすなろ幼稚園からの竹馬の友。酒井さんは日本電子工学院を卒業後、実家の電気店とパソコン教室を営み、廣内さんは大阪の調理師学校を卒業して浪江に戻り、調理師として働いていました。原発事故の直後からは、どちらも避難先を6ヶ所以上も転々とする生活を送り、酒井さんは現在南相馬市に在住。廣内さんは建築関係の研修を受講して大工として働き始め、浪江町の避難解除後に帰還していました。

 そんな時、「スピーカーのキャビネットを作ってみたらどうだ」と廣内さんに声をかけた酒井さん。学生の頃は共にフォークソングを聴き、ギターに親しみ、酒井さんは避難先の福島市の仮設に来た福島大学の学生らとライブを開く程の音楽好き。音響の仕事をした経験と電子工学の知識を活かして、スピーカー内部を酒井さんが製作。キャビネットの部分を廣内さんが大工の経験を活かして丁寧に仕上げ。これが後の製作工房S&H(酒井と廣内)の前身となりました。出来上がったスピーカーはネット販売から始め、浪江町の避難指示解除の翌年2018年と2019年の十日市での出品を経て、今年の工房オープンへと繋がりました。

 スピーカーとお客様の部屋との相性にもこだわり、貸出しに応じたり、最適な場所に設置する事もあるそうです。「市販のハイエンドスピーカーは高すぎる。もっと気軽に良い音で音楽を楽しんで欲しい」と話す酒井さん。小さな合板製の物から、漆塗りや無垢仕上げ、取り壊した家屋の廃材から厚い一枚板を切出して仕上げた大きなケヤキ造りの物まで、「世界に1台しかないスピーカー」を作り続けています。

会津さんはヤギ牧場を栃木県から葛尾村に移転し、昨年には観光牧場がオープンする予定でしたが、新型感染症の影響で延期。感染対策などの準備期間を経て、「今年やっとお客様を迎えることが出来ましたと」鎌田さんは胸をなでおろします。

「オーディオに対する敷居を低くして愛好家の裾野をもっと広げたい」という想いでオープンした店内に並んでいるのは、大小様々なスピーカーの他に、お客様自身が好きな色で仕上げられるスピーカー製作キット、訪れた人が自由に奏でられるピアノやギター、キーボードなどの楽器たち。 酒井さんは、先ずは冷やかしで構わないから好きな音源や楽器を持参して、自分の耳で確かめてみて欲しいと言います。

 工房は音楽系の動画配信などでの活用や、今はコロナ禍で難しいけれど将来的には小さなライブを開けたら楽しいねと微笑みあうふたり。どちらが欠けても創れない音の工房で、心地良いオーディオの響きを体験してみてはいかがでしょうか。

■スピーカー製作工房S&H
福島県双葉郡浪江町大字北幾世橋字殿町10-1
TEL 0240-35-3530
※営業時間外は携帯にご連絡ください。
(携帯)090-7524-1062
営業日 毎週金曜日~日曜日
営業時間 13:00~19:00
ホームページ http://sound-koubou.jp/



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