エリア相南相双・トライカウンティーの情報誌WEB i-いんふぉ
passion
いままでも、これからも。相双を復興する最前へ。
〜浪江町商工会青年部 部長 前司昭博(ぜんじあきひろ)さん〜

 あるときはマスクとイエロースーツでなみえ焼そばをPRする極太マン。またあるときは浪江町で企業したい人に厳しくも頼もしい応援の声をかける虎こと浪江商工会青年部の部長。その正体は双葉郡を中心に復興工事に取組む(株)伊達重機の専務取締役。バラエティに富む活動を繰り広げる前司さんの今までと現在、そしてこれからの展望を伺いました。

 浪江町で父親の経営する重機会社で働いている最中に震災に見舞われた前司さん。避難先の東京での快適な生活に「自分はここで何をしているんだろう」と焦燥感に襲われ、1週間後には東京電力福島第一原発での収束作業に入りました。作業から帰宅したいわき市のアパートで、2008年から参加していた「浪江焼麺太国」のブログを更新する日々。およそ100日に及ぶ過酷な作業の大きな心の支えになっていたと言います。避難先の仲間からのメールで「前司が原発で頑張っている間、おれたちがなみえ焼そばを守る」と励まされ、「町を取り戻す日まで、自分に出来ることをする」と決めた前司さん。その想いは今も変わっていないと言います。

 浪江町が警戒区域になり、浪江焼麺太国のメンバーも避難で離れ離れになりましたが、その年の秋、ご当地グルメの祭典「Bー1グランプリin姫路」に「こんな時だからこそ」と集結し、4位に。2013年の愛知大会では、日本一を獲得する快挙を成し遂げ、その後も浪江町民の絆を繋ぐ活動を続けています。「なみえ焼そばを通して浪江町で元気に暮らしている人がいる事を日本中に伝えたい』と、マスクを被り、極太マンに変身して「浪江アベンジャーズ」としてイベント出演や動画を配信しています。
 2017年3月末日、浪江町は帰還困難区域を除き避難指示解除に。2019年には浪江町内に中古住宅を購入して帰還しました。2021年、前司さんは商工会青年部の部長に就任。徐々に戻りつつある若者と町を盛り上げようと積極的に声をかけた結果、新規部員28名で全国1700の商工会青年部の中で入部数1位に。ふたば未来学園とコラボした令和浪江町たまねぎ合戦やエゴマ飛ばし世界大会inなみえ等で地域の魅力を発信しています。
 今春から福島県と宮城県のセブンイレブンで青年部監修のなみえ焼そばを販売中。「懐かしい味・初めての味」を沢山の人に味わってもらい、浪江町ファンを増やす狙いです。

 勤務する会社では、「これまで排気ガスを出すばかりだったが、未来の相双の為に出来る事を考えた」として次世代カーのFCV(水素燃料電池自動車)がエネルギー補給出来る水素ステーションの完成を今年の年末に控え、着々と準備が進んでいます。「楽しい事をしていると自然に人が集まってくる。新しい試みで相双の復興を牽引していけたら良いね」と微笑む前司さんでした。


■浪江町商工会青年部
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