
道の駅なみえに程近い、美しい桜並木で有名な請戸川の河川敷。そこで開墾された農園で馬とニンニクを育てている株式会社ランドビルドファームの吉田さやかさんにお話を伺いました。
浪江町室原地区の代々続く農家で生まれ育ちました。家族が野馬追に参加していて馬も飼育していましたから、子供の頃から農作業や馬の世話の手伝いをしていました。県内で進学した後は地元企業に就職。震災時は福島市に避難しましたが、2017年に避難解除された北幾世橋地区に家と土地を求めて一家で戻ってきました。先代が残してくれた農地をどう生かすかを考えて就農を決意。2021年に新規就農した際、生産物をニンニクに決めたのは「カツオを生のすりおろしニンニクで食べる」浜通りの食文化を地元で生産したもので提供できたら最高じゃないかと思った事からです。
そんな中、東北を中心に東日本の食の復興を促進する「東の食の会」の高橋大就さんに出会い、地元の生産物と食文化の素晴らしさに改めて気付かされ、高橋さんがプロデューサーを務める「なみえ星降る農園」第一期の栽培管理者として携わりました。2022年から規模拡大と6次化に向けて弟が代表を務める農業法人で生産を開始。農家で生まれ育ったとはいえ本格的な農業運営はわからない事もたくさんありましたが、先輩農家さんに教わりながらすすめています。
「ニンニクを育てるには馬の堆肥が一番」とは、今は亡き祖母がよく言っていた言葉。実際、馬堆肥は水捌けも良く保肥力に優れ、ほとんどが有機物のため土壌改良にも最適と良いことずくめでした。
自分達がお世話をしている馬達の糞から堆肥をつくり、河川敷の畑に加えて竹藪だった場所を開墾しました。ニンニクは秋から作付して冬越えを経て、6月が収穫期になります。昨年の収穫はなかなかの出来栄えで、野馬追の馬の堆肥で育ったニンニクである事から「SAMURAI GARLIC(サムライガーリック)」として命名、商標登録して発売したところおかげさまで好評をいただき完売しました。更なるニンニクの消費拡大を目指し、なみえアベンジャーズ(浪江町の魅力をPRするチーム)のメンバーとして活動もしています。
今年の3月31日には生家のある室原地区が避難指示解除になるので、先代が耕してきた農地を再開して生産量を増やす予定です。コロナ禍前にやっていた外国人にも対応した甲冑の着付け体験事業「和坐」を再開したり、築140年の生家を改築して農家民泊や食に関わるイベントなど、みなさんに利用していただけるシェアキッチン事業ができる空間を作っているので、今からお披露目できる日を楽しみにしています。馬と共に生き、野菜を作り、食に繋げることを大切にしながら地域の文化を受け継いで行きたいですね。
■株式会社LANDBUILD FARM
福島県双葉郡浪江町北幾世橋字伊織廹1-2
instagram:https://www.instagram.com/landbuild_farm/