エリア相南相双・トライカウンティーの情報誌WEB i-いんふぉ
passion
「相馬藩」で、馬と人とが共に活躍できる場所を創っていく
NPO法人 相馬救援隊


    

 南相馬市原町区片倉の市営馬術競技施設「馬事公苑」。その一角にある「NPO法人・相馬救援隊」の厩舎を訪ねると、迎えてくれたのは5頭のサラブレッドと2頭のポニー達です。相馬救援隊の代表理事である相馬家第34代当主の相馬行胤(そうま・みちたね)さんと、スタッフとして馬のお世話をしている渡邊怜平さんにお話を伺いました。

相馬さん「相馬救援隊の活動は2011年の3月11日にスタートし、被災した方々への支援や被災馬の救助や保護を中心に行ってきました。2013年に家族で広島県の神石高原町に移住しました。それは当時、旧相馬藩領の3分の1が帰還困難区域に指定され、沢山の人達が全国に散り散りになり、50年から100年は帰還が認められないかと考えていたので、一度も国替えのない相馬藩の郷土愛を継承する場が必要と思い、地域創生と避難者雇用を合わせた町作りを考えての事でした。その間相馬救援隊の活動は継続していたので定期的に相馬には戻ってきておりました。
 その後、皆様のご尽力のおかげで私が思ったよりも早くに帰還が認められたので、救援隊の活動を加速させようと計画を立てていました。そんな時に出会ったのが引退馬問題を考える「サンクスホースプロジェクト」です。それまでは年々参加数が減っている野馬追の騎馬の事など、千年続いた伝統を未来に繋げるにはどうしたらいいか等の野馬追の事や故郷の事ばかりを考えていました。  そもそも野馬追の馬の多くは競馬の引退馬。彼らのセカンドキャリアを野馬追で発揮する為に馬の飼育と訓練の場所を探していたところ、1995年のふくしま国体の際に馬術競技会場として整備された馬事公苑を使わせて貰える事になり、2016年に南相馬市で馬の事業を始めさせていただきました。」

渡邊さん「子供の頃から野馬追に参加していて、2018年から救援隊に在籍しています。引退馬のリトレーニング(再調教)は前職の競走馬の育成とは全く違う方向性で、そこが面白いし奥が深いですね。ここでは引退馬だけでなく、病気などで一度もレースに出られず、普通なら殺処分の運命だった馬もいます。引き取ったばかりの頃は気性が荒かった馬もいますが、一頭一頭の性格を掴み、心をこめてお世話をするうちに誰が乗っても大丈夫な野馬追で活躍できる馬になっていきます。メインは野馬追に出る馬の育成ですが、性格や身体機能的に野馬追に出られない馬にも活躍の場を用意しています。 乗馬体験会やオープンデー、ホースマンシップ講習会などのイベント開催を通して、野馬追以外の馬と人との交流の機会を作ってきました。」

相馬さん「2023年の8月、私は住民票を浪江町の室原地区に移し、一般社団法人SOMAという団体を立ち上げ、そのコミュニティとして「驫(ノーマ)の谷」を創りました。相馬救援隊は拠点を南相馬市のまま、SOMAの大事な活動のひとつとして加わります。室原地区では乗馬トレッキングや観光馬車など、人と馬が触れ合える場所作りを目指しています。より多くの引退馬が活躍し、地域住民や観光客が集い、大いに賑わう場所になっていくと思います。」

■驫(ノーマ)の谷ホームページ
https://nomavalley.jp/


> HOME