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passion
双葉ダルマが引き寄せた
浜通りの風を感じる生活

〜福島チャリ部 島 美紀(Shima Miki)さん〜


双葉駅前のFUTAHOME(ふたほめ)に現れたのは、サイクルウエアに身を包み、桜色の自転車を押した島さん。埼玉県春日部市から福島県に移住したきっかけや双葉町での暮らし、10年前から夢中になったロードバイク(高速走行に特化した自転車)を活用した復興活動の事などを伺いました。

  原発事故のニュースで初めて、首都圏の電気を作っていたのが福島県の発電所だった事を知りました。震災後に勤めていた埼玉県のホテルで提供していた料理のメニューに「福島県産の食材は使用していません」と書かれているのを見て、私たちの暮らしを支えてきたのは福島県なのに、こんな仕打ちで傷つけて良いのかと歯痒い想いを抱えていました。
  さいたま市の大宮駅前にある東日本連携センター「まるまるひがしにほん」に転職、2021年に福島県浜通りの物産展を企画しました。埼玉県には2700名以上の避難者の方がいて、物産展にも多くの方が来場され、懐かしい!と喜んでいただきました。コロナ禍だった事もあり、縁起の良い双葉ダルマが人気で、私が仕入れた30個が完売。その後も何度か浜通りの物産展を開催するうちに双葉町で暮らす事を考えるようになりました。
2022年に楢葉町へ移住、その翌年に双葉町えきにし住宅に引越しました。
現在は富岡町にある東京電力の社員寮で給食調理員として働いています。

  双葉町では避難先から帰ってきた人や、他の移住者の方とお茶飲みや夜廻り、かつて町内にあった「双葉バラ園」に思いを馳せながらガーデンコンテストに向けての庭づくりなど、楽しみながら生活しています。8月には震災後初のスーパーが開店して、かなり暮らしやすくなりました。
  移住前からロードバイクが大好きで福島でも最初は一人で走っていましたが、浜通りに自転車好きが多い事に気づきました。川内村や葛尾村など、サイクルレース大会も盛んですね。昨年、福島県内外の自転車愛好家が集まって復興を支援するグループ「福島チャリ部」発起人の一人となりました。現在、県内外含めて192名のメンバーがいます。サイクルイベントの支援や、浜通りの復興過程で出た端材を再利用したサイクルラック(Re:Cycle Rack)を作成・寄贈する活動を始めました。葛尾村復興交流館あぜりあなど、現在で県内10ヶ所に設置していますので、気軽に利用して欲しいです。
  来年6月には自転車の世界選手権のアジア予選(UCIグランフォンドワールドシリーズ予選大会)としてツール・ド・ふくしまが開催される予定で、福島チャリ部も運営の協力をしています。県でも浜通り中心のコースを「浜サイ」と名付けて東北初のナショナルサイクルルートへの指定を目指していて、サイクリストの注目度が高まっています。世界を目指すアマチュアレーサー達が集い、走る事で「浜通りの今」を感じてもらえたら嬉しいです。





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