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富岡町を演劇で元気に
地元のみんなで創る演劇祭

〜富岡演劇祭主催・富岡町3.11を語る会 青木 淑子(Aoki Yoshiko)さん〜


 富岡町で地元の町民を中心とした劇団と、福島県内外の劇団や表現者による「富岡演劇祭」が今年で4回目を迎えます。主催の「NPO法人富岡町3・11を語る会」の代表、青木淑子さんにお話を伺いました。

 郡山市で長年、高校の国語の教諭と演劇部の顧問として勤めていました。富岡高校の校長として4年間、富岡町にお世話になり2008年に定年。その後は郡山に戻っていたのですが、震災時に富岡町の方達がビックパレットふくしまに続々と避難して来たのを知ってボランティアに通いました。避難所の閉所後、各地の仮設住宅などにバラバラになった町民たちの生活を支援するために社会福祉協議会の中の「おだがいさまセンター」のアドバイザーになりました。そこで震災時に起こった事を忘れず、未来に語り伝えていく活動として「語り人(かたりべ)」を始めました。語りたい人も、話を聞かせてほしいという依頼も増えたので2015年に独立したのが今の団体です。
 それぞれの「あの日」と「想い」をようやく話せるようになった18人の富岡町民が集まりました。語り人のみなさんは最初、想いが溢れて話が長くなってしまいがちでしたが、メンバー同士で聞き合ったり「より伝わる」ものにするための文章に整理して書き起こしをする中で、忘れていた記憶がよみがえっていく発見があり、語り人の必要性を再確認しました。

 富岡町は2017年と2023年の2度の避難指示一部解除がありましたが、震災前に住んでいた人の1〜2割程度しか戻っていません。「帰る人」、「帰らない人」「帰れない人」「迷っている人」「新しく住み始めた人」と立場や想いも様々。このバラバラな人の心が一つになる取り組みとして2019年に語りの表現に進化を加えた形として演劇を上演、観た方から避難時の事や心情をより深く感じられたと大きな反響を呼びました。その時のメンバーが母体となり富岡町民劇団「ホーム」がスタート。2022年から福島県内外の劇団や表現者が集まった「演劇祭」を開催しました。夏には若者を中心に表現の幅を広げる演劇キャンプも企画、富岡町を演劇のまちとして交流人口を増やし、地域の活性化を目指しています。
 今年の演劇祭は12月20日、21日に開催。富岡町文化交流センター学びの森の大ホールと小ホール、和室、エントランスから会議室、茶室に至るまで館内丸ごとを使い、演劇以外にも音楽、大道芸、地元の方々の協力による飲食なども楽しめるお祭りです。演劇のテーマも震災の事だけではなく多岐に渡り、泣いて・笑って・元気になる2日間。各公演はチケットが必要ですが、初日の11時から大ホールで始まる「ホーム」によるオープニングセレモニーは無料で観られますので、まずは気軽に覗いてみてください。


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