
2月11日から、大熊町大川原の古民家「渡辺邸」にて、おおくま町物語伝承の会が主催したイベント「おおくま つるし飾り祭り」が開かれています。会場内では「おおくま ふるさと塾」のメンバーによる「布芝居」で、地元に伝わる民話を上演。メンバーのひとり、吉岡文弘さんにお話を伺いました。
1994年から1995年度に大熊町では、日本各地で町の活性化活動をしてきた萩原茂裕先生を講師に迎えて「ふるさと塾」が開催されました。翌年の1996年、ふるさと塾の受講者を中心に町民有志11名が石田宗昭さんを初代塾長として発足したのが「おおくま ふるさと塾」です。現在は二代目の渡部正勝さんが塾長を務めています。史跡や山を歩きながら大熊町の魅力と歴史を探訪する活動に取り組んできました。「生まれ育った大熊町を誇りに思えるような故郷を伝える」ことを目標に、石田宗昭さん所有の石田家住宅(2019年に国の登録有形文化財に認定)を拠点として大熊町を中心に活動中です。フィールドワークとして、ふるさと塾顧問の鎌田清衛さんの案内で町内の神社仏閣、一里塚などの古跡巡りの実施や案内看板の設置、大熊町文化財保存活用地域計画策定に未指定文化財の一覧作成に参加しました。
文化・自然の保存活動として、町の方言を集めた「大熊町方言集」の発刊や、蛍とマシジミの観察会なども実施しています。震災後、帰還困難区域や中間貯蔵施設内になった地域では建物や石碑などが草木に埋もれたり地震や経年劣化で壊れ、手入れが難しくなった場所も許可を得て調査と記録を残しています。
地元に伝わる民話を多くの人に知って欲しい、という想いから震災前から始めた「布芝居」も皆さんに楽しんでいただいています。古布を使った大型の絵が回転する独特の布芝居の制作と、地元の訛りを交えた語り部の育成もしています。つるし飾り祭りの初日に上演したのは「美女泣かせのせせらぎ」という演目で日隠山の麓を流れる川にまつわるお話です。嫁と姑、旦那様、登場人物が皆優しくいたわりあって暮らしている様子に心が温まります。避難で散り散りになっても機会を見つけて集まり、助け合って今を生きる地域の人々と重なります。
お話に出てくる湧水は、ふるさと塾が「小夜姫の涙」と名付け今も湧き出ています。(現在は震災の影響で林道が崩落のため立入禁止)つるし飾り祭りでの布芝居の上演は3月8日と11日にも予定しておりますので是非、観にいらしてください。これからも、地元の歴史と文化を守り伝え、未来へと繋ぐ活動を続けていきたいです。