

浪江町の市街地から車で西へ10分ほど、高瀬川のせせらぎが聞こえる大堀地区に建つ「陶芸の杜おおぼり」では、年に1度、「大せとまつり」が開催され、窯元がお客様に直接作品を販売します。広報を担当する大堀相馬焼ウーマンにお話を伺いました。
大堀相馬焼は江戸時代から歴史があり、大堀村(今の浪江町大堀)に焼き物に適した土があった事から最盛期には100軒以上の窯元があったといいます。瀬戸や益子といった有名な産地の陶器との差別化を図るために独自の作品として創意工夫して開発し、明治中期には走り駒の絵付けが広まり、明治末期にはお茶が冷めにくい二重構造が考案されるなどして、戦後には海外に輸出されるほどの人気の陶器となりました。1978年に「大堀相馬焼」として国の伝統的工芸品の指定を受け、2002年には登り窯を備えた「陶芸の杜おおぼり」が完成し、大せとまつりが毎年開催されて大いに賑わっていました。
大震災と原発事故により浪江町は全町民の避難を余儀なくされ、窯元も散り散りになりました。休業する窯元も少なくなかった中で「伝統を守りたい」と二本松市、福島市、本宮市、矢吹町、白河市、西郷村などの地で作陶を続けてきました。
2017年3月末から町の一部の避難指示が解除されましたが、そこから遅れること6年後の2023年6月に「文化的価値を持つ区域」として窯元だけの「点」の解除がされ、「陶芸の杜おおぼり」が営業再開、大せとまつりも震災後13年ぶりに復活。それまで「空港せとまつり」や「十日市祭」、道の駅なみえ隣接の「なみえの技・なりわい館」などで顔を合わせる事はありましたが、震災前まで家族や親戚のように同じ地域で一緒に暮らしていた仲間が再び故郷に集まって開催するお祭りは特別なもので、窯元の皆さんの表情も自然と和らいでいるのが分かります。今年の5月末には大堀地区に錨屋窯の工房がリニューアルオープンするなど、嬉しいニュースもありました。
今年の大せとまつりには休閑窯、錨屋窯、栖鳳窯、半谷窯、松永窯、京月窯に加えて勘治郎窯が15年ぶりに参加を予定しています。当日は窯元一同、沢山の方のご来場をお待ちしています。