エリア相南相双・トライカウンティーの情報誌WEB i-いんふぉ
passion
防災に役立つコミュニティづくりと災害に強いまちづくりのお手伝い

〜防災士 株式会社いのちとぶんか社 取締役 福島国際研究教育機関(F-REI)研究員
Kasai Yuka 葛西 優香さん〜


9月1日は1923年の関東大震災と台風の多い時期にちなみ、「防災の日」と制定されています。人生で2度の大震災の経験から防災について研究し、浪江町を拠点に防災とまちづくりの活動をしている葛西優香さんにお話を伺いました。

 出身は大阪府で、小学校2年の冬に阪神大震災を経験しました。家具が倒れ、酷い状況になった家から裸足で外に避難していたのを見た近所の方から靴下を貰い、助けられた事を覚えています。社会人になって東京で働いていた時に東日本大震災を経験。高層ビルでの大きな揺れの中で同僚は泣き叫び上司は一人で逃げてしまったのを見て、「都内が震源の大地震が起きたらどうなるんだろう」と強い危機感を持ちました。防災について学ぶ為に専門分野の大学教授による講演会にも何度か足を運んでいましたが、参加者の顔ぶれがいつも同じだったり、内容が難しくてついていけない方もいるのを見て、「より多くの人に誰にでもわかる言葉で防災について興味を持って貰うには」と考えて2012年に防災ラジオの葛飾エフエム放送に入社。 ラジオパーソナリティとして地震、水害、気象異変などの災害を回避、減災する知識を楽しく放送していました。東京のマンションで防災訓練を企画したら、私が大阪で被災した時のようなご近所同志で助け合う共助のベースが全く無かった事に気付き、コミュニティを作って災害対策につなげるお手伝いをさせていただきました。同時期に大学院で防災エリアマネジメントを学び、理論を踏まえつつ実践として課題を解決する方向が見えたので大学院博士課程を単位取得満期退学しました。

 防災に関する仕事を続けていて、あるとき東京で開催された浪江の現状を伝える講演会でまちづくりなみえの菅野孝明さんに出逢いました。名刺交換の際に「震災を経験したまちから防災を伝えていきたい」というお話があり、自分もお手伝いできる事があるのではと思いました。2017年の避難指示が解除されたばかりの浪江町を訪れた時からこの町に惹かれ、訪問と宿泊を重ねた後の2021年に浪江町に移住しました。

 震災時の全町民避難で強制的にコミュニティを断たれたこの場所で「まずは神社を再建しよう」と避難指示の解除前から動く人々と、避難先で盆踊りや田植え踊りなどの郷土芸能の練習を続ける人々がいて、祭りの意味と希望を感じました。地域毎に違う盆唄の歌詞に町民は故郷を想い、移住者は土地の成り立ちや歴史を学ぶ事ができます。祭りには多くの人手が必要な事から自然と「現在浪江に住んでいる人」と「避難先から祭りの準備や練習に通う人」と「移住してきた人」をつなぐ力があります。更に祭りには中心になって動く人からその日だけ参加する人までの関わりの濃淡があり、災害時の物資の配給などで主要な役割をする人から在宅避難者への助け合いなど、祭りを含めた普段の営みを防災に重ねることができると感じました。

 今も日本各地で地震や水害で大きな被害が出ています。ハザード(防災)マップで自然災害による自宅の被害リスクを確認し、過去に被災した地域は特に地震や豪雨時の避難先や備えを家族で共有して自助を行った上で、普段からご近所との挨拶や助け合い、地域交流など防災を自分ごととして取り組む事が大事だと思います。




> HOME